こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

#books・作品

想いの強さ

作家・阿刀田高さんの短編ミステリーの一つに 忘れられない話がある。 ============== 娘の結婚が決まり張り切っていた父親が 式の3日前から急に 強い香水をつけるようになった。 当日の結婚式は滞りなく進んだが スピーチを終えたとたんに父親が倒れた。 来…

ともに食事を

介護という言葉の本当の意味 つまり真の共通点はと考えてみたところ 「ともに生きる」 ってことなのかなとこの頃は思う。 先日読んだ生物学者の書いた本では 人間がサルやゴリラと異なる点は ・社会と文化を持っていること ・食事をともにすること なのだと…

【作品】よりどころ

「よりどころ」 豊田久乃 病院とはその忙しさゆえ個別対応はありえないと思っていたが、なにしろ私には余裕がなかった。急がなければ警察のお世話になってしまうかもしれない。暴れる母か、おさえる父か、割って入る私か。誰が加害者あるいは被害者になって…

智恵袋

赤木春恵さんの「おばあちゃんの家事秘伝」(小学館) という本が実家にあってこれが好きで くり返し読んでいた。 辞典みたいな部厚さでしかも2段組みで びっしり細かい字で書かれていた記憶だが とにかく驚きと学びの連続で面白くて 飽きずにひたすら読み続…

【作品】「目覚めの朝」

「目覚めの朝」 豊田久乃 得体のしれない不安がじわじわと広がったのは二月に入ってからだった。テレビの向こうの遠い出来事だったニュースが、自分の身に降りかかる恐れのある至近距離まできた現実に加え、専門家でさえ正解を持たない新たな難題であること…

【動画】寄り添うとは?

精神科医の岡田尊司先生は 著書「人を動かす対話術」の中で 患者が好きなジャンルの本を知ったなら 『きみもそれに打ち込まないと』 と精神医学の大家から言われたことが 耳に残っていると書かれている。 関心の共有 気持ちの共有は カウンセリングに限らず …

【本】骨と筋肉が若返る食べ方

骨と筋肉が若返る食べ方 寝たきりを防ぐ「栄養整形医学」 大友通明 青春新書 950円+税 整形外科の先生が書いた栄養学の本。 医師の視点も人によって様々で 完全に正解が一つというわけでもないから いろんな説を試してみるのもアリかと。 これを読んでちょ…

【本】スマホの中身も「遺品」です

「スマホの中身も「遺品」です」 古田雄介著 中公新書ラクレ 880円+税 デジタル相続入門と副題のついたこの本は まるでマニュアルのように細かく あらゆるケースを想定して書かれている。 実際直面した場合に心強い。 うちの年寄りにスマホを持たせなかった…

【本】人生が豊かになる名言集

「やすらぎの刻~人生が豊かになる名言集~」 テレビ朝日番組公式ムック文藝春秋 1,320円(税込) テレビ放映中の「やすらぎの刻~道」ムック版。 脚本ではなくて出演者のインタビュー集。 倉本聰さんの言葉はもちろん すでに老齢期の役者さんが 老人を演じ…

意味を見つける旅

人生に意味を見つけることが 人生の目的であり生きる意味だとするならば 病や介護はうってつけの場になるのではないか。 つらく苦しい現実を どう乗り越えるかを考え続ける中で 人は成長しこころゆたかになって 現実を理解し越えていけるんだろうと思う。 今…

【本】毒親介護

「毒親介護」 石川結貴著 文春新書 800円+税 どストレートなタイトルにギョッとして 著者名を見て納得した一冊。 私の中では たとえどんな親であれ 老いて弱った人をどうして介護をしようと 思わないんだろうなという疑問は常にある。 愛してくれなかった人…

【本】なぜ人と人は支え合うのか

「なぜ人と人は支え合うのか」 渡辺一史 著 ちくまプリマー新書 880円+税 映画「こんな夜更けにバナナかよ」原作の ノンフィクションライター渡辺一史さんの新刊。 5年かけて書いたというこの一冊は みっしりと想いと迷いと熱意のこもった そして丁寧で真摯…

リズム運動

このところ父が変わってきたのは 運動をするようになったからかもしれない。 リズム運動がセロトニン神経の伸長に良いということは 「セロトニン欠乏脳」有田秀穂 生活人新書 680円+税 を読んで覚えていた。 私自身は昼間はひたすら歩きまわっており 寝る前…

みちる心

『周りの人がその人に「何かをしろ」と ひと言も命じなくても、自分から行動を起こし始める。 それが安全基地のマジックである。』 岡田尊司著 「回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち」光文社新書 840円+税 精神科医の岡田先生の著書の数々には名言が山ほどあ…

【本】キッドナッパーズ

「キッドナッパーズ」 門井慶喜著 文春文庫 700円+税 以前月刊文芸春秋に掲載されていた作品が 短編集として文庫化されたので くり返し読んでいる。 直木賞作家は何といっても文章が美しく読みやすい。 この作品はネタバレしたくないので 内容には言及しづら…

【本】風花病棟

「風花病棟」 帚木蓬生著 新潮文庫 まもなく映画公開の「閉鎖病棟」(新潮文庫 670円+税)と 合わせて買った同じ作家の一冊。 著者は精神科医でもあり数々の文学賞を受賞。 「風花病棟」は短編集でいずれも 医師の立場から患者を描き 向き合い方に迷い これ…

【本】カサンドラ症候群

「カサンドラ症候群」 岡田尊司 角川新書 840円+税 介護とは関係ないテーマと思いきや 「うちのことかと思った」。 近しい人(主に夫や家族)が アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)で その共感力欠如や情緒的表出障害の影響で 心身症を発症してしま…

【リンク】介護をしないことに決めた理由

婦人公論へのリンク。 「私が親の介護をしないことに決めた理由」 ・・・いろんな思いと事情。 それでも介護義務はあるし 忙しいからと言って個人の責任が消えるわけじゃない。 一人ぼっちにされた親は他人が面倒をみる(=後見人)。 誰が言ったのだったか …

【本】親切は脳に効く

「親切は脳に効く」 デイビッド・ハミルトン著 堀内久美子訳 サンマーク出版 1500円+税 『親切』を自ら行うことで オキシトシンと社会性によって 心身の健康度が増すことを 科学的な実験や研究結果に基づき ていねいで分かりやすく説明されている。 血圧が高…

その先の未来

エリザベス・キューブラー=ロスの「死ぬ瞬間」には 「その人がいなくなった未来を考えておく」 ことの重要性が書かれている。 これを読んで母のときには 完全に次の未来を作っておいた。 だがまだ父の「その先」については動いていない。 思いのほか介護が…

【本】平場の月

「平場の月」朝倉かすみ 光文社 1600円+税 介護とはちょっと離れているが とある病気について詳細に描かれている作品。 大人の恋愛と複雑な事情を描いていると聞いて読んだが どちらかというと私は 「もう自分たちの年齢にも死は迫っているんだな」 というリ…

【本】ゆかいな認知症

「ゆかいな認知症」介護を「快護」に変える人 奥野修司 講談社現代新書 950円(税込) こんな視点があるのか!と認識を新たにした一冊。 主に若年性認知症を発症した方々の本音や これまで感じたこと 現在思っていること 病気を踏まえてなおアクティブに続け…

【本】ゆかいな認知症

「ゆかいな認知症」介護を「快護」に変える人 奥野修司 講談社現代新書 950円(税込) 読後に更新します。 ykaigo.hatenablog.com ykaigo.hatenablog.com

【本】親を棄てる子どもたち

「親を棄てる子どもたち」新しい「姥捨山」のかたちを求めて 大山眞人 平凡社新書 820円+税 受けた恩を親に返すという考え方がないのは なぜなんだろうと考えていた折タイムリーな一冊。 介護放棄は現代型姥捨なんだな。 著者は若い頃から親の介護をして 現…

【本】ことことこーこ

「ことことこーこ」 阿川佐和子著 角川書店 1500円+税 タイトルが可愛らしくてずっと気になっていた一冊。 介護の入口の小さな日常の揺らぎ 目が離せない母親との暮らし 少しずつ離れていく仕事や友人との距離 きょうだいとの温度差 思い出深い家の処分や葬…

【本】認知症の人の心の中はどうなっているのか?

「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」 佐藤眞一 光文社新書 840円+税 日常会話から認知度をはかる方法や 認知症の方が見ている世界を 内側からていねいに説明している一冊。 もともと心理学では こういうプロセスで人はこう認識する みたいな理論が…

【本】キッドナッパーズ

「キッドナッパーズ」 門井慶喜 オール読物2018年3月号 P108 門井さんの直木賞作品とともに掲載されていた作品。 デビュー作だそう。 介護とは直接関係ないが 「心の傷」を理解するには重要な作品。 最後の一文に心底胸が痛む。 直木賞作品もこれも父と息子…

【本】”介護後”うつ

「”介護後”うつ」 安藤和津 光文社 1300円+税 やっと届いたので一気に読みました。 安藤さんのあの、テレビで拝見する明るさで 語られているようでとても読みやすい。 自分も同じ症状あったわー あれはうつだったのね。 そんなに大変なのに 「何のために介…

【本】高次脳機能障害

「高次脳機能障害」 橋本圭司 PHP新書 740円+税 認知症と重なるところは少ないが 自閉症関連で読んでいる本の一冊。 その中に響く言葉があったのでご紹介。 『支援者は環境の一部である』 少し前から父の自閉症に ガチでコミットするのをやめて やることは…

【本】社会脳からみた認知症

「社会脳からみた認知症」 伊古田俊夫 講談社ブルーバックス ¥900円+税 社会脳についてEQやSQなどを テーマにした本をこのところ読み続けているが 認知症メインで社会脳を書いている本は初めて。 『認知症とは社会脳が壊れる病気である』(本文より) …